臨済宗大徳寺派の大本山大徳寺の山内塔頭の聚光院に行ってきました。
ここは三好長慶や千利休に関わり深いお寺ですが、今日の目的は障壁画を見に来ました。

狩野松栄、永徳の筆による国宝の方丈襖絵です。
今日はこの障壁画を本来の形で見る事のできる最後の日です。
というのもこの作品は京都国立博物館へ行ってしまいます。
なのでしっかりとこまか〜い所まで目に焼き付けてきました。

以前三年半前に東京国立博物館にてこの大徳寺聚光院の襖絵展を見た事がありました。
今回じっくり見るのは二回目です。

一番の感想は、やはりこの襖絵はこの場所にあり最高傑作と感じました。
一面一面の絵は、構図や見る人の目線までも計算されているようで、もちろん素晴らしいですが、とくに室中の間の障壁画から南の枯山水の庭園までの一体感、一つに見え、インスタレーションされた、障壁画と庭、空間、空気までもが作品であり、立体の作品の中にいる心地でした。全く東京で見た時と違う印象を受けました。

永徳筆の一番重要であろう室中の間の正面の花鳥図が仏壇が有る事により開けられ、絵が途切れると思いきや、仏壇下の父松栄の描いた蓮池藻魚図があらわれます。
子の永徳に重要な間をおもいっきりまかせ、父はしっかりバックアップサポートをしているようにも感じました。永徳の力強い描写力、潔い筆さばき、父松栄の柔らかい穏やかなラインが見事に合致した襖絵の数々、実に素敵な空間です。

狩野親子の足下にも及びませんが、三年前に父が句を書き私が絵を入れて二人で作った作品と今は亡き父の優しさを思い出し、なんだか温かい気持ちになりました。
今日は狩野松栄、永徳にすっかり感動させられてしまいました。

父子水墨

(西村)